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今、何故徒弟制度か  
徒弟制度における人間性と創造性〜 
獨協経済第61号 1995年3月 紀要原文に 若干の校正をほどこし、読みやすくしました  






   

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● 枕絵における文人の役割 (「色道禁秘抄・兎鹿斎先生著」頼山陽著?)

枕絵が絵師、彫り師、すり師という三つの異なる徒弟制度の元で鍛え上げらえた職人さんたちが、合作でつくっていったことはよく言われますが、重要な部分として特に春画の領域では文人が大きな役割を果たしました。
参考資料は喜多川歌麿の枕絵ですが、海女が貝を取っていたら、河童が二匹やってきて、これにいいことしちゃう、そういう、だれが考えたのか、これは実は喜多川歌麿が考えたんじゃないんですね、文人が考えたんです。文案ディレクターが存在します。この春画には、文字は載っていませんが、さまざまな書き込みというものがありまして、そこで情景が描かれております。実はこの部分も文人が行いました。ですから、かなりレベルの高い人たちがこういう愚にもつかないことを考えていたことになりますが、文人ですから文献がなければなりません。
文献の一つとして、「色道禁秘抄」という本があります。これは兎鹿斎先生著とあらわされておりますが、勿論本名ではありません。大体こういうものに本名を使うことはなかったといっていいわけです。
兎鹿斎先生の兎(と)鹿(か)は(とかなんとか言っちゃって)という意味です。
本文中に「頼山陽先生」という言葉があります。恐らく頼山陽その人が書いた著書ではないかと感じます。
中国の文献、日本の文献、漢文ですが、豊富に引用されている、内容が深い文章です。その中でいわゆる色の道を究めようとする男が、兎鹿斎先生にさまざまな質問をして、先生がそれに答えるという形でこの本が構成されていますが、64項目の質問に答えている。
よく64項目の質問があった、またそれによくも答えられたものだと感心するわけですが、そういう質問にすべて答えて、この先生「それではいよいよ色道の奥義を伝達する」というわけです。
何のことかと思って見ておりますと、「灯を消せば」―あんどんの灯ですが、「灯を消せば うちの女房も 小町なり」いろいろなことをしてみるけれど、奥さんが一番いいと、最後に笑わせてくれます。深刻な内容ではなくて、こういうものが、大らかに扱われていたことを雰囲気として知るわけです。

                                  



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