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今、何故徒弟制度か  
徒弟制度における人間性と創造性〜 
獨協経済第61号 1995年3月 紀要原文に 若干の校正をほどこし、読みやすくしました  





   

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 ● 不当に軽視されてきた江戸文化と徒弟制度

もともと欧米追従時代がどうして起こったのかというと、ペリーが黒船によって来航した、いわゆる黒船ショックと申しますか、このままでは我が国は植民地になってしまう。それはどうしても避けなければならない、こういうことから江戸時代のままではいけない、江戸時代のすべてを、必要以上に否定してきたという部分があろうかと思いますが、我が国独自の創造性を考えた場合には、この江戸時代を立脚点として考えることも重要であろうかと思います。
 それから、現在、江戸学が一つのブームになっていると伺いますが、これには重要な視点が含まれていると思います。
 今から四半世紀ほど前、人類は初めて宇宙空間から、月面から、地球を外側から眺めるという体験をしたわけです。
 それまでは地球の資源は無限であり、この無限の資源を大量に消費する、あるいは大量に浪費するという形で物質文明を切り開いてきた。この形の進歩は善である、疑いの余地がない。半ば信仰のような形がまかり通ってきたということがあるかと思います。
 しかし、宇宙空間から見た地球は、むしろ閉塞している。非常に広大な宇宙の中で生物が生存できるたった一つの小さな存在にすぎない。そういうことから人類の歴史の中でも極めて特殊で特異な形態を持つ江戸文化というもの、すなわち資源をほとんど使わない、しかも鎖国という閉塞性の中で極めて高いレベルの文化を築いた。これを機に注目していこうという考え方がアメリカの学会から起こってきました。注目すべき視点と思います。

                                  




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