有限会社 松本彫刻
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         松本彫刻          

今、何故徒弟制度か  
徒弟制度における人間性と創造性〜 
獨協経済第61号 1995年3月 紀要原文に 若干の校正をほどこし、読みやすくしました  





   

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● 伝統工芸はかつての先端産業

このような徒弟制度の創造性のあり方を中心に考えたときに、いわゆる伝統工芸の考え方が少し変わってくるのではないかと思います。
伝統工芸は、先ほどの木彫業、木型屋さんの例を引くまでもなく、現在の日本の社会の中で生き抜いていくことが非常に難しい。
そのために政府が資金を提供してくださる、また宣伝活動としてテレビとか展示会というような形で宣伝のチャンスをくださいます。そういうテレビなどを見ますと、アナウンサーの質問に職人さんとか親方が答えております。
こういうものをつくるのは息が長くて、40年たっても50年たってもなかなか満足なものができない、奥が深いという話をよく聞きます。
そういう話を聞くたびに、非常に悲しい気持ちになるわけです。
口はばったい物の言い方かもしれませんが、その程度のものは徒弟の5年の年限、少なくとも10年ぐらいのうちにマスターしてほしい内容であるというふうに思います。
職人として親方として本当に厳しいというのは、そのベースになる技術、センスというものから発展して新しい社会のニーズにこたえていく、そういう部分が本当に難しい、奥が深いというふうにとらえる。
なぜならば、伝統工芸として現在今ある回答は、先輩たちがあらゆる時代をくぐり抜けて改良に改良を加えてできた最終的な形です。それを継承する以上は、それを継承して今の社会に生かすという気構えがなければ、ちょっと情けないのではないか、と感じるわけです。これは徒弟制度の側にいる者として当然考えなければいけないことであると思います。

                                  



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